【紫八咫(生酒)2021ムラサキヤタ 美郷錦(秋田県産)】テーマは「永遠」
2024-07-07

2021年の紫八咫は、このテーマに一見背くように、 大きくその形式を変えることになった。なんと「生酒」となったのである。なぜ、長寿であるべき 「紫八咫」が生酒となったのだろうか?
「生酒」のデメリットは、熱処理をしないため、酵素が残存 していることにある。麹に含まれている米を溶かすための酵素が残ったままになり、この酵素が酒の味わいをより甘く、濃醇にしてしまうのである。概して酒は程なくダレてしまう
また、生酒ではすぐに香りも損なわれる。上槽時点では華やかな吟醸香に満たされていた酒も、すぐに 「生老ね」という、酵素作用によって生まれるナッツ様のオフフレーバーにとって替わられてし まうのだ。この2つの生酒のデメリットをクリアすることが、「紫八咫 2021」の目的だ
まず、あっという間に増加してしまう甘味についてであるが、そもそも貴醸酒なので、甘い分 には差し支えない。また2020年の「紫八咫」のような高い酸度を身に纏えば、さらにバランスはとれる
次に生酒特有のオフフレーバーであるが、これは麹の造り方によって低減が可能になる。 そして貴醸酒では、酒を添加することにより酵母の活性を抑えることができるため、麹の力が比較的少なくても酒が成立するのである。他にも様々な技術を駆使して、生酒のデメリットを回避しているのだが、こうして 2021年以降の「紫八咫」は、新政酒造のラインナップの中でも、 最も前衛的な実験酒の地位へと躍り出ることとなったのである
